「忙しさは伝わっているはずなのに、返ってくるのは工夫しろという言葉だ」
「そもそも、何を出せば話が前に進むのかが分からない」
そんな押し返され方を重ねてきたあなたへ。
結論から言えば、
稟議の側で数えられていたのは、止まった業務の時間と、代わりに動いた手作業でした
人数を並べても、比べる相手のない数字にしかなりません。
この記事では、判断する側の席で実際に開いていた欄を並べ、いまの記録から止まった時間を数え直す順番を置きます。数え方を変えるだけで、話の場所が移りました。
「人手不足」という一語は、三つの別々の状態を指していた
まず、言葉のほうを仕分けます。同じ「人手不足」で、現場が指している状態は三つに分かれていました。
一つ目は、依頼が捌けていない状態です。届いた依頼が順番待ちになり、返事までの間隔が延びていきます。
二つ目は、特定の一人しか触れない領域がある状態です。人数の問題ではなく、代わりがいないという形をしています。
三つ目は、新しい取り組みに手が出ない状態です。既存の維持で埋まっていて、計画のほうが着手されません。
三つは、通る書き方がそれぞれ違いました。混ぜたまま「人が足りない」と出すと、どれにも当たりません。
とくに二つ目は、人数を足しても解けません。触れる人を増やすには、引き継ぎと立ち会いの時間が先に要ります。
三つ目も同じで、着手できる余白のほうが問題でした。頭数だけが増えても、既存の維持に吸われて終わります。
ここから先は、この三つが判断の側でどう読まれていたかを見ていきます。扱うのは、増員の稟議で何が数えられていたかという実務の話だけです。
仕分けの手順は簡単です。直近の相談資料を開いて、書いた内容がどの状態に当たるかを分けます。
- 順番待ちが延びている話は、一つ目
- 代わりが立たない話は、二つ目
- 着手できていない計画の話は、三つ目
- 三つに当てはまらない記述は、いったん外す
外した記述は、たいてい心情に近いものでした。あなたの実感としては正しくても、稟議では扱う欄がありません。
訴える側では、人数と忙しさが材料だった
情報システム部の側で相談を出していたころ、手元にあった材料は二つでした。担当の人数と、依頼の多さです。
「担当が足りません」「依頼が増えています」。この二つを並べて出していました。
間違ったことは書いていません。それでも返ってくるのは、優先順位を見直せという返事でした。
当時は、理解されていないのだと受け取りました。量の話が伝わっていないのだと思い、次はもっと詳しく書きます。
詳しくすると、資料は厚くなります。厚くなっても、返事は同じでした。
そのころ資料に載せていたのは、次のような項目です。
- 担当の人数と、前年からの増減
- 受け付けた依頼の件数(同じ期間で前年と比較)
- 対応が完了するまでの平均の日数
- 担当ごとの持ち件数の偏り
どれも部署の内側で完結する数字です。読む側にとっては、比べる相手のない数字でした。
判断する側の席では、最初に別の欄を開いていた
のちに、増員や外注を決める側の会議へ呼ばれるようになりました。読み手の席から見ると、資料の見え方が変わります。
最初に探していたのは、人数の欄ではありませんでした。その部署が止まったときに、会社の何が止まるかという欄です。
止まる先が書かれていない資料は、比べる相手がいません。同じ会議には、営業の増員や設備の更新も並んでいます。
並んでいる他の案件には、止まったときの影響が書かれていました。売上の機会、納期、稼働の停止といった形です。
情報システム部の資料だけが、部署の内側の話で完結していました。忙しさは伝わりますが、比べる材料になりません。
ここが、両側で見ていたものの差でした。片側は自分の負荷を、片側は他部署の停止を見ています。
個人の経験に基づく記述であり、同じ結果を保証するものではありません。
読む側が意地悪だったわけではありません。書式が、そもそも他部署への影響を書く前提で作られていました。
ですから直す先は、熱意でも文章力でもありません。埋める欄と、そこへ入れる単位のほうでした。
公表されている調査でも、人材の不足は最も大きい割合で挙がっている
この状況は、その職場だけの事情ではありません。公表されている調査にも、同じ形で現れています。
総務省の「令和7年版 情報通信白書」の企業のデジタル化に関する項目では、日本企業が挙げた課題のうち「人材不足(48.7%)」の回答割合が最も大きい、と示されています(2026年9月8日 取得)。
出所は、総務省(2025)の「諸外国における最新の情報通信技術の動向及びデジタル化への取組に関する調査研究」と記載されています(同日取得)。
つまり、足りないという認識そのものは共有されています。共有されているのに個別の稟議が通らないのは、別の理由があるということです。
理由は、その資料が何と比べられているかにありました。同じ会議で並ぶ他の案件と、単位が揃っていません。
全社の課題としては認識されていても、個別の投資は案件ごとに順番が付きます。認識と順番は、別の場所で決まっていました。
ですから調査の結果をそのまま資料に貼っても、順番は動きません。動くのは、自社の中で止まっている業務を並べたときだけでした。
部署の守備範囲そのものが曖昧なまま相談を出しているなら、公的な区分と実務の担当範囲を突き合わせた記事を先に見ておくと、書く範囲が決まります。
いまの席のまま、止まった時間を数え直す
数え直しは、新しい記録を取り始めなくても進みます。過去一年の問い合わせと障害の記録があれば足ります。
止まった時間は、業務の側の単位で数える
まず、対応が遅れて業務が待たされた場面を拾います。障害だけではなく、順番待ちで返事が遅れた依頼も含みます。
数えるのは、こちらの作業時間ではありません。依頼した部署の業務が進まなかった時間のほうです。
この二つは、まったく別の数字になりました。こちらが十分で終えた作業でも、順番待ちが三日あれば、業務は三日止まっています。
読む側にとって意味があるのは後者です。前者は、部署の内側の話に見えました。
拾うときは、件名と日付だけで足ります。長さは、受け付けた日と着手した日の差で出せました。
正確な計測は要りません。桁が合っていれば、比べる材料としては足ります。
手作業の量は、他部署の人が答えられる形で書く
次に、止まっているあいだに何が起きていたかを聞きます。たいていは、紙や表計算での手作業に置き換わっています。
この量は、こちらでは分かりません。依頼元の部署に聞くしかありませんでした。
聞くときは、感想ではなく作業の名前で聞きます。何を、誰が、どれくらいの期間やっていたか。
返ってきた答えは、そのまま資料に載せられます。こちらが主張するのではなく、相手の部署の言葉として載るのが強い形でした。
聞きに行くこと自体にも効果がありました。手作業をしていた部署は、そこを数えられた経験がありません。
数えた結果は、相手の部署でも使えます。資料が二つの部署の共同の材料になると、会議での扱いが変わりました。
代わりがいない領域は、件数ではなく範囲で書く
三つ目の状態は、数で表しにくい種類です。特定の領域を一人しか触れない、という形をしています。
ここを依頼の件数で書くと、量が少なく見えます。少ないほど「その程度なら足りている」と読まれました。
効いたのは、範囲で書く形です。その人が不在の期間に、着手できなくなる業務の一覧を並べます。
一覧が他部署の業務名で埋まると、読む側の見方が変わりました。人数の話ではなく、止まる範囲の話として読まれます。
作るときは、休みを取った週を思い出すのが早道でした。実際に持ち越しになった仕事が、そのまま一覧になります。
持ち越しが起きなかった領域は、書かなくて構いません。書く対象は、代わりが立たなかった箇所だけです。
数え直した結果で、職場が二つに分かれた
単位を入れ替えて出し直すと、反応が二つに割れました。割れ方には、はっきりした違いがあります。
見分けは、返ってきたものの種類で付きます。質問が来るか、来ないかです。
通った職場に共通していたこと
通った場合、返ってくるのは質問でした。止まった時間の根拠、手作業を担った部署の名前、範囲の一覧の作り方について聞かれます。
質問が来た時点で、比べる土俵には乗っています。あとは他の案件との順番の話になりました。
この型の職場では、増員そのものが通らなくても代替が出ます。外注の枠、期間限定の応援、範囲の縮小といった形です。
どれも、資料の数字に対する返答でした。数字が土俵に乗ると、答えのほうも具体になります。
返答が具体になると、次の期の資料も作りやすくなります。前の期に聞かれた欄を、先に埋めておけばよいからです。
この積み上がりが起きる職場は、二期目からが早くなりました。あなたの側で作る資料も、毎回ゼロからではなくなります。
通らなかった職場で、代わりに動いたもの
通らない場合、質問は来ません。「持ち帰る」で終わり、次の期にも同じ資料を出すことになります。
このとき動いていたのは、資料の外側でした。部署の位置づけが、そもそも投資の対象になっていない場合です。
見分けるための確認は、次の三つで足りました。どれも社内の資料から拾えます。
- 直近の期に、情報システム部の名前で通った投資があるか
- その投資の効果欄に、他部署の業務名が書かれていたか
- 差し戻された相談に、質問が付いていたか
三つとも空振りなら、あなたの書き方の問題ではありませんでした。位置づけの側が動いていない状態です。
| 反応 | 読み取れること | 次の一手 |
|---|---|---|
| 根拠を聞かれる | 比べる土俵には乗った | 他案件との順番の話へ進む |
| 代替案が返る | 投資の対象として扱われている | 範囲か期間で折り合う |
| 持ち帰りで終わる | 位置づけの側が動いていない | 資料ではなく場所の相談へ |
止まる範囲を洗い出す作業は、資産の一覧を作る手順と重なります。持ち主のいない端末が出てくる過程を追った記事と併せて進めると、二度手間になりません。
位置づけが動かないと分かった後で読む、窓口の対象欄
筆者は本サービスの利用者ではありません。以下は各社の公表情報と、SE・社内SE としての実務経験からの整理です。
順番があります。数え直しを先に済ませてから、外の欄を読みます。逆にすると、持っていく材料が忙しさの話に戻りました。
社内SE転職ナビは、対象を「自社の中で働きたいITエンジニア(社内SE・情報システム職)」と公表しています(同社公式サイト。2026年8月17日 取得)。
止まった時間と範囲の一覧を持っていると、面談で持ち場の重さを説明できます。人数の話に戻らずに済む材料でした。
持ち込む前に、あなたの側で一つ決めておくと進みが速くなります。増やしたいのが担当なのか、範囲の縮小なのかという点です。
レバテックキャリアは、対象を「ITエンジニアとデザイナー」と公表しており、申し込みと面談の間に希望条件の入力が挟まります(同社公式サイト。2026年8月17日 取得)。
入力の欄で扱えるのは職種と条件です。部署が投資の対象として置かれているかどうかまでは、その欄では扱えませんでした。
いずれも各社が示している内容で、当サイトが独自に確かめたものではありません。当サイトの評価軸に基づく整理であり、客観的な優劣を示すものではありません。評価軸は広告掲載方針に記載しています。
ひとりで守備範囲を抱えている状態が続いているなら、広さが評価の場面で逆に働く仕組みのほうも合わせて読んでおくと、持ち込む順番が決まります。
まとめ — 通らなかったのは、比べられる形になっていなかったから
ここまでを一文に畳みます。人手不足の相談が通らなかった理由は、比べられる単位を持っていなかった点にありました。量そのものは、当時から足りていません。
数え直す対象は三つです。業務が止まっていた時間、他部署で発生した手作業、代わりがいない領域の範囲。
そのうえで、あなたが次に持つ問いはひとつだけになります。出し直した資料に、質問が返ってきたかどうか。
返ってきたなら、話は順番の交渉へ移ります。聞かれた欄を次の期に先回りして埋めれば、二回目からは早く進みました。
二期続けて返ってこないなら、問いの向きが変わります。資料をさらに磨く時間は、そこで打ち止めにしてよい合図でした。
この部署は、そもそも投資の対象として置かれているのか。次に確かめるのは、そちらでした。