「求人票には内製化と書いてあるのに、実際は発注の管理ばかりだ」
「手を動かす仕事を残したいのに、どこを見て選べばいいのか分からない」
そんな迷い方のまま求人票を眺めているあなたへ。
結論から言えば、
開発が手元に残るかどうかは、案件を内と外へ振り分ける一行で先に決まっていました
腕前でも方針の表明でもなく、そこが分かれ目でした。
この記事では、その一行が誰の机で書かれ、何を見て決まっていたのかを分解します。いまの職場で分かれ目を数える順番も置きました。求人票で目を止める場所が一つ減ります。
結論 — 開発が残るかは、案件を振り分ける一行で決まっていた
「内製化を進めています」という一行は、いまの求人票のほとんどに載っています。それでも入った後に開発が残るかは、別のところで決まっていました。
振り分けの一行、というのがこの記事の中心です。案件を社内で作るか、外へ出すかを決める短い記述のことを指します。
その一行は、稟議書や年度の計画表の中にあります。技術の話が出てくるより先に書かれているのが特徴でした。
書いた人は、たいてい情報システム部の外にいます。予算を承認する側の会議で、文言が先に固まっていました。
ですから「開発をやりたい」と伝える相手を間違えると、話がどこにも届きません。届く先は、振り分ける机のほうでした。
ですからこの記事では、どちらが正しいかを決めません。案件がどちらへ振られていたかと、その理由だけを取り出します。
手元にあるもので足ります。去年の稟議書と、発注の記録の二種類です。
先に断っておくと、ここでは会社の規模や業種で分けません。同じ規模でも、振り分けの基準は会社ごとに違っていました。
違いを作っていたのは、止まったときに誰が矢面へ立つかという一点です。そこが決まっている会社ほど、列は動きませんでした。
作る側にいたころ、案件は決まった形で届いていた
受託や常駐で開発を担当していたころ、案件は最初から「作るもの」として届いていました。
要件の粗さや期限の短さに文句を言うことはあっても、その案件が外へ出た理由までは考えませんでした。
こちらへ届いた時点で、すでに一度分けられた後だったからです。分けた会議の記録は、こちらには回ってきません。
だから当時のこちらには、社内側の人が「作らない人たち」に見えていました。決めて、あとは待っている人たちだ、と。
いま思えば、見えていたのは分けられた後の姿だけです。分ける作業そのものは、こちらの視界の外で終わっていました。
あなたがいま発注を管理する側にいるなら、同じ景色を逆から見ていることになります。手を動かす人が羨ましく見える位置です。
受ける側にいた当時、届いた案件から読み取れたものを並べると次のようになります。
- 作る範囲。ここは細かく書かれている
- 納める日。動かない前提で書かれている
- 先方の窓口の名前。決裁の順番までは書かれていない
- 外へ出た理由。ここだけが最後まで空欄だった
最後の一行が空欄のまま何年も過ごしました。埋まったのは、分ける側の席に座った後です。
振り分ける机に座ってみると、先に開いていた欄が違った
社内側へ移り、案件を内と外へ分ける会議に出るようになりました。座ってみると、開いている欄が想像と違いました。
難易度の話は、いちばん最後に出てきます。先に埋まっていたのは、別の三つでした。
内へ入る案件に共通していたのは、終わらない仕事だった
内側へ入った案件を並べると、共通点は規模でも技術でもありませんでした。終わりの日が引けないことでした。
制度が変わるたびに手が入るもの。利用部門が毎月条件を足すもの。使う人の顔ぶれが年度で入れ替わるもの。
この種類を外へ出すと、契約を結び直す回数が増えます。回数が増えると、決裁のたびに説明が要ります。
説明を書くのは情報システム部です。書く手間が積み上がると、内側で持つほうが安いという計算になりました。
つまり内製に回ってきたのは、面白い案件ではありません。終わらないから外へ出しにくい案件のほうでした。
外へ出る案件は、期限のほうが先に立っていた
逆に外へ出た案件には、動かせない期日が付いていました。制度の施行日、監査の提出日、店舗の開業日といったものです。
期日が動かない案件では、要員が確保できるかどうかが最初の条件になります。社内の担当が別件を抱えていれば、その時点で外へ回ります。
ここで数えられていたのは、能力ではなく空きでした。誰が上手いかは、空いている人が複数いたときにだけ問われます。
受ける側にいたころ、こちらは「信用されて任された」と思っていました。実際には、空いていたから回っていた回のほうが多かったはずです。
個人の経験に基づく記述であり、同じ結果を保証するものではありません。
同じ機能でも、置き場所が変わると振り分けが逆になった
同じような画面を作る案件でも、乗せる先が基幹の仕組みか、部門で閉じた仕組みかで扱いが変わりました。
基幹の側は、止まったときに最初に電話が鳴る先が決まっています。鳴る先を外の会社にすると、連絡の経路が一段増えます。
経路が増えることを嫌う会社では、基幹に触るものは内側へ寄せます。逆に、経路より要員の確保を優先する会社では外へ出ます。
どちらが正しいという話ではありません。会社ごとに、この判断がほぼ固定されているという事実のほうが効きました。
面接で「開発はできますか」と聞いても、この固定を動かす答えは返ってきません。聞くなら、直近に内側へ入った案件の名前でした。
ここまでの三つは、どれもあなたの腕前を測っていません。測っていたのは、案件の側の性質だけです。
だから同じ人が、会社を移った途端に作る量が増えることがあります。増えたのは能力ではありません。内側の列の長さのほうが変わっただけです。
振り分ける側の席そのものへ近づけるのかが気になった方は、部門が何の数字で報告されているかで枠が配られていた話も先に見ておいてください。決める席の数は、そちらで先に決まっていました。
公的な資料でも、作る側と任せる側は別の言葉で置かれている
この分かれ目は、現場の慣習だけの話ではありません。公的な資料の側でも、両者は別の枠として書かれています。
IPA(情報処理推進機構)の「情報システム・モデル取引・契約書」のページを開くと、ユーザ企業とITベンダ間の取引構造を透明化するための資料だと説明されています(2026年9月8日 取得)。
そこで提供されているのは、それぞれが各開発段階で担うべき責務等の解説と、契約書のひな型です(同日取得)。
ここで前提になっているのは、段階ごとに担う側が入れ替わるという構造です。全部を一方が持つ形ではありません。
一方、日本標準産業分類の「受託開発ソフトウェア業」は、顧客の委託によりプログラムの作成やその調査、分析、助言などを行う事業所、と説明されています(政府統計の総合窓口。2026年9月8日 取得)。
委託という語が先に立っていることが分かります。作る行為そのものは、どちらの側にも起こりえます。
ですから「社内SEは作らない」という言い方は、資料の側からは出てきません。出てくるのは、どの段階を誰が担うかは案件ごとに決まるという話だけでした。
手を動かす量そのものが減る感触に心当たりがあるなら、読んで決める時間が書く時間を追い越していく過程を追った記事も置いてあります。順番に読むと、減った先に何が残るかが見えます。
いまの職場のまま、振り分けの一行は数えられる
この数え方は、移る前に始められます。あなたの職場で去年動いた案件の一覧があれば足ります。
順番は二段です。列に並べてから、外へ出た理由の語を拾います。逆にすると、語のほうに引っ張られます。
直近一年の案件を、内と外の二列に並べる
まず、去年から今年にかけて動いた案件の名前を書き出します。規模の大小は問いません。
次に、社内の人が作ったものと、外の会社が作ったものへ分けます。両方が入っている案件は、多いほうの列へ置きます。
- 案件名。稟議の件名をそのまま写すと後で照合しやすい
- 作った側。社内か、外か、混在か
- 終わりの日が引けたかどうか。引けない案件には印を付ける
- 止まったときに最初に連絡が行く先。人ではなく部署か会社の名前で書く
ここまでで、内側の列に何が集まっているかが見えます。終わりの日が引けない案件ばかりなら、その職場の基準は前の章と同じです。
分かれ目に立っていた語を、稟議から書き取る
次に、外へ出た案件の稟議を開きます。理由の欄に書かれた語だけを抜き出します。
「要員が確保できない」「期日が動かせない」「専門性が社内に無い」。だいたいこの三つのどれかに寄っていました。
語そのものより、どれが多いかを見ます。多いほうの語が、その職場の基準です。
抜き出すときは、書いた人の所属も一緒に控えておきます。情報システム部の外から来た語かどうかで、動かせる余地が変わりました。
| 稟議に書かれた語 | 実際に見られていた基準 |
|---|---|
| 要員が確保できない | 社内担当の空き。腕前ではない |
| 期日が動かせない | 遅れたときの責任の置き先 |
| 専門性が社内に無い | 次の年度も同じ人が居るかどうか |
同じ語を両側が別の意味で使っている場面に覚えがあるなら、依頼の一語が指す期間が左右でずれていた話も並べて読めます。振り分けの会議でも、同じずれ方が起きます。
数え終えてから読む、外の窓口の対象欄
筆者は本サービスの利用者ではありません。以下は各社の公表情報と、SE・社内SE としての実務経験からの整理です。
二列の紙ができてから、外の窓口を見る順番になります。逆にすると、面談の持ち時間が現状の説明で終わります。
読む欄はひとつだけです。どんな職に向けた窓口だと自分で書いているか。ここが二列の紙と噛み合わなければ、申し込む前に降りられます。
社内SE転職ナビは、対象を「自社の中で働きたいITエンジニア(社内SE・情報システム職)」と公表しています(同社公式サイト。2026年8月17日 取得)。
レバテックキャリアは、対象を「ITエンジニアとデザイナー」と公表しており、申し込みと面談の間に希望条件の入力が挟まります(同社公式サイト。2026年8月17日 取得)。
いずれも各社が自ら掲げている記載です。当サイトで裏付けを取った内容ではありません。欄に無い話題は、扱っていないという意味でも、扱えるという意味でもありません。
二列の紙を持っているあなたなら、この欄を読む時間は短くて済みます。増やしたい列が先に決まっているからです。
当サイトの評価軸に基づく整理であり、客観的な優劣を示すものではありません。評価軸は広告掲載方針に記載しています。
内側の列を厚くする道と、振り分ける席へ寄る道
二列を数えると、進み方が二つに割れます。内側の列そのものを厚くしたいのか、振り分ける席のほうへ寄りたいのか。
ここが決まっていないまま座ると、話が「開発もやりたいし管理もやりたい」で止まりました。
割り方の目安は、数えた紙の中にあります。持ち込むときは、次の順で置くと話が短くなりました。
- 内側の列に並んだ案件の数と、その種類
- 外へ出た理由の欄で、いちばん多かった語
- その語を書いた人が、情報システム部の中か外か
- 増やしたいのが列の長さか、列を決める権限か
- いま自分が触っている段階の名前
最後の一行だけは、面談の場で言い直しが利きません。先に決めておくと、残りの時間が質問に回せました。
内側の列を厚くしたい場合、対象として社内SEと情報システム職を挙げている窓口が噛み合います。数えた紙は、そのまま持ち込む材料になります。
作る量そのものを先に増やしたい場合は、レバテックキャリアが対象として置く職種の並びを確かめる形になります。対象はITエンジニアとデザイナーで、直近に手を動かした記録が材料になります。
二列の紙は、外へ持ち出さなくても効きました。いまの職場で来期の案件を相談するときにも、同じ材料として置けます。
権限のほうへ寄る決め方をすると、作る時間は当面減ります。減った分がどこへ乗るのかは、座ってから確かめる欄になりました。
まとめ — 内製化の一語ではなく、振り分けの一行を読む
求人票の「内製化」だけを手がかりに当たった回は、入った後の景色がほとんど読めませんでした。読めたのは案件の列を数えたときだけでした。
去年動いた案件を、内と外の二列へ並べ直します。次に、外へ出た理由として稟議に書かれた語を拾います。
内側の列に終わらない案件ばかりが並んでいるなら、あなたが求めている作る時間は、その職場ではもう出そろっています。
専門性が無いという理由が並んでいるなら、まだ動く余地があります。積んだ分だけ列が入れ替わる可能性が残っているからです。
どちらの並び方だったかで、次に打つ手が入れ替わります。去年の列は、来年の列をだいたい言い当てていました。