SIerをやめるべきか|構造の話と、いまの会社の話を分ける

やめとけという言葉の中身を仕分けられないまま画面を見ている中途のエンジニア
「SIerはやめとけ、という話を何度も見かける」
「いまの詰まりが業界の話なのか、この会社の話なのか読めない」
「移っても同じところで止まりそうで、決めきれない」

そんな言葉の中身を仕分けられずにいるあなたへ。

結論から言えば、
「やめとけ」の中には、委託という事業の形から出る話と、いまの会社の運用から出る話が混ざっています
混ざったまま比べると、移った先で同じ場所に戻ります。

この記事では、二つを分ける線をどこに引くか、そして手元の記録からどちら側かを数える順番を並べます。

 

結論 — 二種類の話が、同じ一語で語られていた

やめとけという一語を、二つの箱に分けて机の左右へ置き直す

「やめとけ」として語られている中身を並べていくと、性質の違う二つの山に分かれました。

一方は、委託の関係がある限りどの会社でも起きる話です。もう一方は、いまの会社が選んだ運用から出ている話でした。

 

前者は会社を移しても残ります。後者は、運用の違う会社へ移れば消えることがあります。

この二つを混ぜたまま「業界ごと合わない」と結論を出すと、選び直しの条件まで一緒にぼやけます。

 

実際に困るのは、移った先で同じ詰まりに当たったときです。残る側だったのか、消えるはずが残ったのかを、あとから切り分けられません。

 

実際に語られている言い分を並べると、次のあたりが繰り返し出てきます。

  • 工数が増えても、増えた分の説明が社外との金額の話になってしまう
  • 仕様を決める会議に呼ばれず、決まった結果だけが降りてくる
  • 間に何社も入っていて、決定の理由が届く前に薄まっている
  • 担当した範囲が経歴に残らず、期間だけが積み上がっていく

 

上の二つと下の二つでは、出どころが違います。上は委託の関係から出ていて、下は会社の運用から出ていました。

 

本記事は中途で移る人、つまり実務の経験がある人を前提に書きます。判断材料は、いま手元にある書面と記録に限ります。

相場の数値や、業界全体の良し悪しは扱いません。あなたの現場で数えられるものだけを並べます。

 

「SIer」という言葉は、どこまでを指しているのか

産業分類のページを開き、委託という条件が置かれた行に指を当てる

この言葉は、法令や統計の上に置かれた分類名ではありません。近い位置にあるのは、事業の分類のほうです。

日本標準産業分類(令和5年7月改定)の細分類3911には、受託開発ソフトウェア業が置かれています(政府統計の総合窓口で2026年9月8日に取得)。

 

説明の文は「顧客の委託により」という条件から始まっていました。事例の欄には、システムインテグレーションサービス業が並びます(同日 同ページにて取得)。

同じ小分類391の中には、組込みソフトウェア業(3912)とパッケージソフトウェア業(3913)が、それぞれ独立した細分類として並びます(同日 同ページにて取得)。

 

分けているのは、顧客の委託があるかどうかという一点だけでした。設計の進め方も、多重の段の深さも、この分類は指定していません。

だから「SIerだからこうなる」と言い切れるのは、委託の関係から離れない部分だけでした。それ以外は、会社ごとの運用の話になります。

 

分類が置いているのは事業の形だけです。多重の段も、常駐の有無も、この一語には含まれていません。含まれていないものを一語で語ると、判断の材料が消えます。

 

この記事でも、以降は「委託の関係から出るもの」と「会社の運用から出るもの」という二つの言い方に置き換えて進めます。あなたの現場でも、同じ置き換えが効きます。

 

見積を書く側と、受け取る側で、決まる順序が逆だった

提案書と予算枠の紙を上下に重ね、どちらが先に置かれたかを確かめる

元請けの位置で見積を書いていたころ、金額は最後に決まるものだと思っていました。要件を積み、工数を出し、そのうえで額が出てくる順番です。

提案が通らなかったときは、額の説明が足りなかったのだと考えていました。

 

のちに発注する側へ回って、同じ提案書を受け取る席に座ってみて分かったことがあります。

額の枠は、提案書が届く前に決まっていました。年度の予算に載った時点で上限が引かれていて、稟議の様式にもその数字が先に入っています。

 

読んでいたのは、積み上げの妥当さではありませんでした。先に引かれている枠の内側に収まっているかどうかを、最初の一枚で見ていただけです。個人の経験に基づく記述であり、同じ結果を保証するものではありません。

書く側では、額は最後に置く数字でした。受け取る側では、額は最初に置かれていて、提案はその枠に入るかどうかで読まれます。順序がそのまま逆になっていました。

 

この順序は、担当者の力量では動きませんでした。予算が年度の単位で先に決まる以上、どちらの側にいても構造は同じです。

だから、見積の説明がうまくいかない現場の重さは、会社を移しても付いてきます。残る側の代表がここでした。

 

逆に言えば、枠の位置を先に聞ける関係を作れるかどうかは、会社ごとに違いました。ここは移ると変わる部分です。

 

枠を先に聞けた案件では、提案の作り方が変わりました。積み上げてから削るのではなく、入る範囲を決めてから中身を置く順番になります。

手戻りの量がそのまま減るので、同じ委託の関係でも重さが違って見えました。構造は同じでも、運用で体感は動きます。

 

会社を移しても残った、事業の形から出ている部分

移っても消えなかった項目だけを、別の紙に書き写して残す

移っても消えなかったものは、どれも委託の関係そのものから出ていました。二社をまたいで同じ場面に当たったので、二つに整理しておきます。

 

1. 追加の工数を、社外に説明する場面が生まれ続ける

作業が増えたとき、増えた分をどこへ持っていくかは委託の関係で決まります。相手が社外にいる以上、額の話として説明することになります。

社内で調整できるなら順番の話で済みます。社外へ出す場合は、順番ではなく金額の話に置き換わりました。

 

置き換えが起きると、削る対象も変わります。社内なら優先順位を持ち込めますが、社外との合意では要件の側を落とすことが多くなりました。

この形は、どの元請けでも同じでした。会社の規模や、扱う業種が変わっても消えません。

 

置き換えの重さが合わない場合、あなたが見るのは会社の側ではなく、委託の関係が無い働き方の側になります。

 

2. 仕様を決める人が、自分の会社の外にいる

要件定義書の承認欄が顧客側の役職者で埋まる形は、委託の関係がある限り続きます。変更の起点も、社外から来ます。

こちらの手元に残るのは、書いた中身をどう説明するかと、問われたことに答える役割でした。決める側の会議に呼ばれるかどうかは、案件ごとに割れます。

 

呼ばれた案件でも、席の性質は変わりませんでした。聞かれたことに答える立場で座っていて、決めた結果を持ち帰る役です。

決める会議に出ること自体は、この線を越える手立てになりませんでした。越えるには、承認欄の側へ回る必要があります。

 

この形が合わないなら、移る先の候補は、仕様を自社で決めている側になります。看板の比べ方は決裁が置かれた四か所の名前から現場を読む方法にまとめてあります。移り先の型から先に決めたいときは、そちらへ寄ってみてください。

 

移れば消えた、いまの会社の運用から出ている部分

運用の欄だけを書き出し、会社ごとに違っていた項目に丸を付ける

一方で、移ったら消えたものもありました。こちらは委託の関係ではなく、会社が選んだ運用から出ています。同じ「やめとけ」の中に、性質の違うものとして混ざっていました。

 

3. 段の深さと、自分がいる位置

同じ委託でも、間に何社入るかは案件の組み方で変わります。元請けの位置にいるか、さらに下の段にいるかで、届く情報の量が違いました。

段が深い位置では、決定の理由が伝わってこないまま作業だけが降りてきます。上の段へ移った期間は、理由が付いた状態で届きました。

 

理由が付いていると、質問の量が減ります。減った分は、そのまま手を動かす時間に戻ってきました。

逆に段が深いと、確かめるだけで半日が終わる日が出ます。作業量は同じでも、体感の重さがここで割れました。

 

段の深さは、会社の選び方で動く項目でした。委託の関係そのものとは別の話になります。

 

4. 経歴として持ち出せる記録が残るかどうか

設計書の作成者欄に名前が入るか、成果の数字が離任後に返ってくるかは、会社の運用で割れました。同じ委託の案件でも、様式が違えば残り方が変わります。

残らない運用の会社では、期間だけが経歴に積み上がります。この差は移ると消えました。

 

差が出るのは、期末の様式と、離任時の引き渡し手順の二か所です。どちらも自社の側で決まっている書式でした。

顧客の側は、こちらの経歴に何が残るかを見ていません。ここは会社に聞けば答えが出る項目になります。

残る側と消える側は、重さの順に並んでいません。日々つらいのは消える側で、あとから効くのは残る側でした。

 

どちら側から出ているかを、手元の記録で数える

直近の記録をめくり、詰まった場面を二つの列に振り分けていく

仕分けは、この半年の記録で足ります。数えるのは印象ではなく、日付の付いた出来事のほうです。

  • 工数が増えた場面を三つ挙げ、社外への説明で止まったか、社内の順番で止まったかを書く
  • 要件が変わった場面で、変更要求票を起票したのが自社か、顧客側かを確かめる
  • 体制図をたどり、自社が元請けの位置にいた案件と、下の段にいた案件を数える
  • 直近の設計書と報告書で、作成者欄に自分の名前が入っているものを数える

 

上の二つで止まっているなら、出どころは委託の関係の側です。会社を移しても同じ場面が来ます。

下の二つで止まっているなら、出どころは運用の側になります。あなたが見る対象は、業界ではなく会社の条件に変わります。

 

四つのうち複数で止まる場合もあります。そのときは、数の多いほうではなく、直近で回数が増えているほうを先に取るほうが動きやすくなりました。

 

数え終えたら、いまの席のまま試せる動きが三つ残ります。移る判断は、この三つの結果を見てからでも間に合いました。

  • 次の案件で、元請けの位置にある枠へ入れないか営業か上長に頼んでみる
  • 設計書の作成者欄に自分の名前を載せられる様式か、期初のうちに確かめる
  • 予算の枠がいつ決まるのかを、顧客側の担当に一度だけ聞いてみる

 

三つとも通れば、運用の側は現場の中で動きます。あなたが業界ごと外す判断をする前に、確かめておける範囲でした。

三つとも断られ、その理由がすべて契約の形を指していたなら、余地は現場の外に移ります。

運用の側で止まっている項目が多いのに業界ごと外す判断をすると、次の会社でも同じ運用に当たる確率が残ります。条件を書き出さないまま動いたときが、いちばんもったいない結果になりました。

 

止まっている場所が運用ではなく、日々の作業の重さそのものに寄っていた場合。負荷の中身は機械に渡せた作業と、人の側に残った判断の切り分けで別に扱っています。重さの正体が気になる方は、そちらも開いてみてください。

 

仕分けが終わってから、窓口が公表している対象を読む

二つの列を埋め終えた紙の横で、窓口の対象欄を先に読み始める

四つを数え終えて、止まっているのが運用の側だったなら、次に読むのは外の条件です。窓口が誰を相手にしていると書いているか、という部分になります。

その相手の枠から外れていると、面談そのものが成立しません。こちらの意欲では変えられない線でした。

 

レバテックキャリアは、対象としてITエンジニアとデザイナーを公表しています(同社公式サイト。2026年8月17日 取得)。

同じページには、申し込みと面談の間に希望条件の入力が挟まれます(同日 同サイトにて取得)。

 

当サイトの評価軸に基づく整理であり、客観的な優劣を示すものではありません。評価軸は広告掲載方針に記載しています。

筆者は本サービスの利用者ではありません。以下は各社の公表情報と、SE・社内SE としての実務経験からの整理です。

 

合う場合/合わない場合

噛み合うのは、四つのうち止まっている項目を特定できていて、その項目が募集要項の言葉にどう置き換わるのかを見たい段階です。

入力欄で書くことになるのは、動かしたい項目の名前になります。業界を外すかどうかではなく、段の深さや様式の話です。

 

合わないのは、職種を限定せずに広く見渡したい段階です。挙げられている相手の範囲と、こちらの視野の広さが噛み合いません。

仕分けが済んでいない状態で席に着くと、時間が現状の説明で終わりました。数え終えてから行くほうが、話が早く進みます。

 

 

手元に置いておくと早いのは、四つを数えた紙そのものです。止まった側の名前が、そのまま条件の言葉になります。

 

まとめ — 分けてから決めると、選び直しの条件が残る

二つに分けた紙のうち、残る側だけを手元に置いて閉じる

「やめとけ」という一語は、委託の形から出る話と、会社の運用から出る話をまとめて運んできます。

分けずに受け取ると、判断は業界ごと外すか、我慢して残るかの二択になりました。分けたあとなら、選択肢は三つに増えます。

 

運用の側で止まっているなら、条件の違う会社を探す話になります。委託の形の側で止まっているなら、委託の関係が無い働き方を見る話です。

どちらも当たっていないなら、いまの案件の組み方に手を入れる余地が残っています。三つのどれに寄っているかは、数えれば出ます。

 

決まらないのは、二種類の話を一語のまま抱えているときでした。分ける作業そのものは、席を立たなくても終わります。

 

分けた紙は、移らない判断をした場合にも残ります。次に同じ言葉を見かけたとき、どちら側の話かをその場で置けるようになりました。