SEの年収が上がらないとき、実際に効いていた3つの要因【2026年8月時点】

昇給の面談を終えて給与明細を見返しているエンジニア
「評価は悪くないのに、額のほうだけが動かない」
「上司と話しても、どこが噛み合っていないのか分からない」
「来年も同じ面談をする気がして、気が重い」

そんな行き止まりの手前で足踏みしているあなたへ。

結論から言えば、
額が動く条件は、単価と分類と反映先という3つの層に分かれて置かれています
手を入れる場所も、その3つのどれかに乗っています。

この記事では、給与規程と等級表、そして注文書を開きます。3つの層のどれで止まっているかは、そこから読み取れます。

 

結論 — 効いていたのは「単価」「分類」「反映先」の3つ

給与明細と等級表を並べ、動かない理由を探しているところ

年収が動かない理由を分解すると、実務では次の3つに集まりました。

1つ目は単価の決まり方です。自分の仕事が社外にいくらで出ているか、そしてその額が変わる時期がいつか。

 

2つ目は職務の分類です。社内の等級表と、外の労働市場で、あなたがどの職務として数えられているか。

3つ目は評価の反映先です。評価が賞与に乗るのか、基本給に乗るのか。同じ評価でも年収への効き方が変わります。

3つとも、本人の作業品質より上の層で決まっていました。作業の質を上げても、上の層が動かなければ額は動かない場合があります。

 

順番にも意味があります。3つのうち反映先だけは、給与規程を読めば今日わかります。判定の入口として使えます。

残り2つは、確認に人と時間が要ります。そのぶん後ろに置きました。

 

同じエンジニアでも、公的な分類は3つに割れている

公的な職業分類の一覧を開き、割れている箇所を指す

個人の話に入る前に、自分がどの分類で数えられているかを見ておきます。要因2(分類)は、ここに乗っています。

次の数値は job tag に公表されているものです。厚生労働省の職業情報提供サイトで、職業ごとの就業者数などが載っています。

job tag が示す職業ごとの就業者数(いずれも令和2年(2020年)国勢調査の結果を job tag が加工した値)
職業(job tag の分類)就業者数
システムエンジニア(受託開発)389,760人(2026年8月13日 取得)
システムエンジニア(基盤システム)656,770人(2026年8月13日 取得)
運用・管理(IT)207,400人(2026年8月13日 取得)

 

これは別々の母集団を集計した数であり、職種を移ったときに何かがどう動くかを示すものではありません。

この表から読めるのは、同じ「エンジニア」でも、どの職業として数えられるかで別の集計に入るということだけになります。

分類が3つに割れていること自体が効きます。同じ会社の同じ部署にいても、登録されている職務が違えば別の集計に入りました。

 

そして、自分がどの職業として数えられるかは、職種名では決まりません。この点は職種名で決まらないなら、何が自分の職業を決めているのかで分けています。これも1本の記事になっていますので、気になったら、そちらへ寄ってください。

 

3つの要因を1つずつ分解する

単価・分類・反映先という3つの要因を、1つずつ分解する

単価は社外との契約に、分類は公的な統計に、反映先は社内の規程に紐づいています。確かめに行く先が要因ごとに違うので、同じ資料を開いても3つとも出てくることはありませんでした。

 

要因1:単価は、契約か予算の更新月にしか動かない

受託や常駐で働いている場合、年収の上限は社外との契約に紐づいています。

見えるものとしては、注文書の作業内容の欄、精算の幅が書かれた欄、更新の判断が行われる時期。契約の当事者は自社と先方なので、これらは手元に回ってこないことが多くありました。

 

効いていたのは、額そのものより変わる時期のほうです。更新の判断が閉じた後に希望を伝えても、その回の結果は動きません。

自社開発や社内の情報システム部門では、この層が年度予算の枠に置き換わります。予算が確定した後に等級が動くことは、実務ではあまり見ませんでした。

時期は自社の営業や上長に聞けば分かることが多いです。額は当事者でないと分かりませんが、時期は当事者でなくても確認できます。

 

要因2:社内の等級表と、外の分類のずれ

同じ仕事をしていても、社内で何の職務として登録されているかで上限が変わります。

確認できるのは、等級表の職務定義、自分の職種コード、評価シートの様式が誰と同じか。評価シートの様式が同じ人が、あなたの比較対象になっています。

 

ここがずれていると、実態が設計寄りでも運用の等級で評価される、ということが起きます。上の表で職業ごとに数え方が分かれているのも、この分類の違いが集計に出たものです。

ずれは本人の申告では直りません。職務の登録は人事の台帳にあるので、変更の手続きを踏まないと動きませんでした。

 

社内の分類は、異動と職務の登録変更で動く場合があります。外の分類は、職務経歴書の書き方で読まれ方が変わります。どちらも本人の作業量では動きません。

 

要因3:評価が乗る先は、賞与か基本給か

3つの中でいちばん見落とされていたのが、これでした。

同じ「評価A」でも、賞与係数に乗る制度と、基本給の号俸に乗る制度があります。前者は単年で消え、後者は翌年以降も残ります。

 

確認できるのは、給与規程の昇給の条項、賞与の算定式、過去の明細で基本給がいつ動いたか。この3つは、あなたの手元で今日そろいます。

賞与に寄った制度では、評価が良い年の手取りは増えますが、翌年の出発点が変わりません。数年単位で見ると、伸びの傾きが立ちません。

本人の実感とずれるのも、ここでした。良い評価を受けた年の記憶は残るのに、数年分の明細を並べると出発点が動いていません。

 

基本給が数年動いていない場合、評価が良い年も年収は横ばいに近くなります。「評価されているのに上がらない」と感じる状態は、ここで説明が付くことが多くありました。個人の経験に基づく記述であり、同じ結果を保証するものではありません。

 

単価・分類・反映先のどこで止まっているかを見る

三つの要因のうち、どこで止まっているかを最初に確かめる

次の観点で、どの層で止まっているかを絞れます。

  • 直近3年で基本給が動いた月を言えるか。言えないなら要因3が効いています
  • 自分の契約または予算の更新時期を知っているか。知らないなら要因1に手が付いていません
  • 等級表の職務定義を読んだことがあるか。読んでいないなら要因2は未確認のままです
  • 評価は良いのに額が動かない状態が2期以上続いているか。続いているなら要因2か3です

 

3つとも当たる人は、少数でした。1つに絞れると、次にやることも自然に1つへ決まります。

2つ以上に当たった場合は、要因3から手を付けます。給与規程は読むだけで済み、結果が今日出るからです。

 

どれにも当たらないのに額が動いていない場合は、要因1の時期を外している可能性が残ります。判断が終わった後に希望を出しているという型になります。

動くべき時期そのものの判断は、額が止まったまま年だけ増えるとき、動く判断は何で決まるのかを出来事の側から分けています。時期の判断を急いでいるなら、先にそちらをたどってください。

 

給与規程と等級表は、社内で読める

社内の共有フォルダから給与規程を開いている
  • 給与規程の昇給と賞与の条項を読む。評価がどちらに乗るかを確かめる
  • 過去の明細を並べ、基本給が動いた月を特定する。動いていない期間の長さが判定になる
  • 等級表の職務定義を読み、自分の登録職務と実態がずれていないかを確かめる
  • ずれている場合、期の評価面談で職務の登録変更を議題に出す。額の交渉より先に分類の話をする
  • 直近の契約更新か予算編成がいつ終わったかを、営業か上長に聞く。時期が分かれば、議題を出す月も決まる
  • 賞与の算定式が規程に書かれているかを確かめる。書かれていない場合、反映先の話は口頭でしか追えない

 

最初の2つは同じ日に終わります。読むだけなので、判定の入口として速いです。

4つ目が効きました。額を交渉すると単発の話になりますが、分類を動かすと翌年以降にも効きます。

 

議題に出す時期も選べます。予算や等級の判断が終わった後だと、その回には乗らないので、要因1で確認した時期の手前に置きます。

3つ目で使う等級表は、社内ポータルの人事規程に置かれていることが多いです。閲覧できない場合は、その事実自体が要因2の材料になります。

ここまでやって動かないなら、理由は読まれ方ではなく制度の側に残っています。次に見るのは、どこまでが制度で、どこからが読まれ方かの線です。

 

止まっている層は、制度と読まれ方のどちらか

制度の側と読まれ方の側が、別の部屋で決まっている状態
  • 変えられない:給与規程そのもの。評価が賞与に乗る制度を、個人の交渉で基本給に付け替えることはできません
  • 変えられない:社外との契約額。当事者が自分ではありません
  • 変わりうる:社内での職務の登録。異動と職務変更で動く場合があります
  • 変わりうる:外での読まれ方。職務経歴書の書き方で変わります

 

変えられない側に理由が集まっている場合、現職で額が動く見込みは薄くなります。制度は個人の事情では変わりません。

ここを「交渉が足りない」と読み替えると、時間だけが過ぎます。制度の話と評価の話は、別の層にあります。

 

変わりうる側に理由があるなら、あなたが試した手がそのまま効く場所です。打った結果は、次の材料にそのまま変わります。

両側にまたがっているなら、変わりうる側で出た答えを先に読みます。数週間で結果が出ているぶん、制度の側の重さを測り直しやすくなります。

行き先ごとに何が入れ替わるかは、別に確かめることになります。社内SEを行き先に置いた場合、支給のどの名目が入れ替わるのかを切り分けています。そちらも1本の記事です。手元に置いておくと比べやすくなります。

 

現職で動かないと分かった後に見る条件

現職では動かないと分かった後、見る条件を書き出す

制度の側に理由が残るなら、現職で額は動きません。外を見る前に、各社の公表内容を読みます。

対象の欄が示すのは職種の範囲で、額の水準ではありません。範囲の外にいると、額の話まで進みません。

額の話に入る前に見る2欄(各社公式サイト。2026年8月17日 取得)
項目レバテックキャリアGeekly
対象ITエンジニアとデザイナー(IT・Web業界に特化)IT・Web・ゲーム業界の転職
額に関する数値(提示額・昇給の実績)未確認未確認

 

表中の記述はいずれも各社が公式サイトで公表しているもので、当サイトが検証した内容ではありません。地域で対象を絞るという記述は、両社とも公式サイト上には見つかりませんでした。

求人数や支援実績の件数は、両社が同じ時点で更新しているものではありません。時点の違う数を並べても優劣は読めないので、表には置いていません。

 

額の側の数字は、両社とも公式サイト上に見当たりませんでした。

当サイトの評価軸に基づく整理であり、客観的な優劣を示すものではありません。評価軸は広告掲載方針に記載しています。

 

向いている人/向いていない人

筆者は本サービスの利用者ではありません。以下は各社の公表情報と、SE・社内SE としての実務経験からの整理です。

レバテックキャリアが役に立つのは、3つの要因が制度と契約の側に寄っていて、外での読まれ方だけが未知になった局面です。経歴の中身を出せない状態だと、そこまで届きません。

Geekly の対象領域は IT・Web・ゲーム業界だと公表されています。この3業界の外側で額を上げたいなら、向きません。雇用形態についての限定は、公式サイト上に見当たりませんでした。

面談の入口で扱われるのは、額そのものではなく額が決まる場所のほうです。単価・分類・反映先のどれで止まっているかを1つ選んでから座ります。

 

選ばずに座った場合、選ぶ作業は相手の質問の形で行われます。あなたの持ち時間が、そのぶん削られます。

 

 

額だけを先に出すと、話は相場の確認で終わります。単価・分類・反映先のどれで止まっているかを添えて、初めて根拠のある額になります。

 

 

額の話に入るのは、要因を名指ししてからで足ります。単価の話と分類の話では、つながる求人が別になります。額の確認だけで席を立つつもりなら、どちらも合いません。

 

まとめ — 額の前に決めるのは、どの層で止まっているか

額の話に入る前に、どの層で止まっているかが決まった状態

1手目。給与規程を読み、過去の明細で基本給が動いた月を特定します。動いていない期間が長ければ、要因3が効いています。

2手目。等級表に書かれた職務定義と、自分の登録職務を突き合わせます。ずれていれば要因2で、額ではなく分類のほうから話が始まります。

 

3手目。契約または予算の更新時期を確かめます。時期を外して希望を出しても、その回には乗りません。

この3手は、いずれもあなたの手元の書類で終わります。どの層の話なのかを先に決めておけば、面談の入口で迷いません。

 

年収は作業の質だけで決まる数字ではありませんでした。止まっている層を先に決めると、交渉する相手も時期も変わります。